「追究の鬼」リターンズ!
タイトルにある「追究の鬼」といえば,社会科教員の間では超有名な「有田和正大先生」が目指している子供の姿です。12,3年ほど前に出会い,追試していました。「はてな帳」もやってました。見てコメントを書くのが大変でした。ネタをさがしてそのネタをもとにして追究していく…。私はまだまだ未熟なので,子供たちを「追究のお」ぐらいにしか育てられませんでしたが,とても楽しく社会科の授業をしていました。
5年ほど前から,いろいろな仕事が増えたり,なんとなくマンネリになったりしてしばらく遠ざかっていました。
でも,これではいかん!!と思い,またすこしずつやってみることにしました。「ビフォー・アフター」で少しのってきたので,ちょうどいいのかもしれません。
ネタは地域の歴史的建造物です。うちの学校は運よく近くに面白いものがあります。そのうちの一つに「一皇子(いちおうじ)神社」があります。神社の名前にしては,変わってるでしょ?そうなのです。実は,ここは南北朝時代に後醍醐天皇の第一皇子の「護良親王(もりよししんのう)」が追っ手から逃れて,隠れ住んでいたという伝説があるのです。
これのやりとり。
T「学校の近くに神社,あるっちゃ?」
C「ああ,いづおんつぁん?」「いづおんつぁん,だっちゃ。」「春にお祭りがあるどこ?」
T「そうそう,正しい名前知ってる?」
ここで板書。「『いづおんつぁん』は,おんちゃんではない。」
C「あ~おれ,おんちゃんだど思ってだあ。」「んだ~おれもだ。」
C「確か,一皇子神社」
T「おおよく知ってるね。んじゃ,この『一皇子』って何?」
C「え~わがんねっちゃあ。」「おうじ,だっちゃ?えらい人?」
ここで,各自ノートに書くことに。
「えらい人」「『皇』っていう字があるから,天皇に関係ある人」「いちばん めの王子?」など,いろいろです。
『皇』の字に着目して考えた子の意見を取り上げ,
『天皇の子供』であることを教え,さらに,当時天皇は京都にいるはずであることを知らせ,
T「京都にいる天皇(皇子)と石巻に,どんな関係があるのだろう?」
と聞きました。これもノートに考えを書かせました。
「旅行に来た。」「たまたま来て拝んだので,名前がついた。」「戦いに来た。」「戦いから逃
れてきた。」「住んでいた。」「逃げて隠れていた。」などが出ました。
ここから,ダメだしタ~イム。出された意見のうちおかしいものを指摘します。
C「えらい人なのに,逃げてきたのはおかしいと思います。」
C「えらい人だからねらわれるってこともあるでしょ?」
C「天皇は戦わないと思います。」
C「でも,昔だから戦うかも。」なんて意見やり取りの末,多数決では「旅行に来た」が一番多く支持されました。
T「んじゃ調べてみっちゃ。」ということで,ネットで検索。
C「あ~逃げてきたんだ!!!」「え~なんで~。」と,見つけた子
から,驚きの声が。
「逃げて隠れていた」は3名だけの支持でしたので…。意外な結果に,「へえ,石巻に皇子が住んでたんだあ。」と感心ひとしきりでした。より,地域の歴史に興味をもってくれたようでした。
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コメント
「はてな帳」わたしもやってました。
しかし、いつもことごとく挫折しました。
理由を考えたのですが、たぶん、追究の鬼にするまでの方法論が確立されていないからだと思います。
JJさんは、上條晴夫さんが考え出した日々の作文システム「見たこと作文」をご存じですか?
amazonや、学事出版のHPから「見たこと作文」と検索を入れると数冊出てくるかと思います。
わたしは、これがおすすめです。
理念は有田先生の「はてな帳」を追いながらも、方法論がきちんと書かれています。集団で学んでいく姿が提示されています。
まあ……それでも、なかなかわたしのような凡人には、子どもたちを熱中させる日々の作文を書かせることは難しいのですがね。
投稿: あべたか | 2005年12月 1日 (木) 04時20分
あべたかさん,コメントありがとうございます。
そうですね。私も「はてな帳」はかれこれ5年ぐらいしていません。方法論の確立というよりも,私の場合,粘り強さが足りなかったのかな。と思います。
上條さんの「見たこと作文」は知りませんでした。これから勉強してみます。
投稿: JJ | 2005年12月 1日 (木) 21時17分